神社の枯木の伐採(映像あり)
地域の神社にある巨大なトドマツの枯れ木を伐採
ある日、町内会の方から電話が有った。
「有明さん、神社の枯れたトドマツが危なくなってきたんだけど、何とかならんかね。」
早速、町内会の役員達と神社に行ってみる。
問題のトドマツは神社の裏手に立っている。
直径70cm以上はありそうな結構大きな樹だ。
確かに完全に枯れているようで、下半分は完全に樹皮が剥がれ落ちている。
このクラスの樹なら何度か伐倒したことがあるが、問題は立っている場所だ。
南東側には神社の建物、南西側には小さな馬頭観音がある。
残るは北側だが、森になっていてこれだけの大木を倒すだけのスペースは無い。
この限られた条件で上手いこと伐採する方法を考えなければならない。
解決策は見つからなかったが、その日は一旦解散した。
翌日、一人で神社に戻り、ドローンを飛ばして周辺とトドマツ上部の腐り具合を観察してみた。
周りを緑の森に囲まれた枯れたカラマツは真っ白に見える。
枝を広げた姿を真上から見ると、まるで雪の結晶のようで実に美しい!
伐倒する方向を見定めるため周囲の森を入念に観察すると、北東側に一箇所だけ立木の隙間があった。
枯れたトドマツをそのまま北東側に倒すと、トドマツの張り出した枝が周囲の立木に引っかかって、「かかり木」になる恐れがあるので、事前にかなり上部まで枝を切り落としておく必要がある。
幸いこのトドマツは完全に枯れているけれども、樹皮が剥がれ落ちていたせいで木質部に湿気がたまらず、幹は意外にしっかりしているようだ。
これなら、ツリークライミングの要領でトドマツの幹を登り、張り出した枝を切り落とせば、伐採可能だ!
最上部は樹皮が残っているため腐っている可能性が有るが、ある程度の高さまで枝を落とせば、何とかなるだろう。
伐採できそうだという事を町内会に連絡して、決行日を決めた。
当日は朝から僕が密かに「長老」と読んでいる地域の古顔達が集まってくれた。
長老達は屋外作業の経験が豊富で、手は出さないが口はたくさん出す。
ああだこうだと、それぞれが好き勝手なことを言いながら、作業は楽しくスタートした。
クライミングスパーという爪の付いた道具を足に付け、幹に突き刺しながら、ランヤード(胴綱)を使って木を登る。
登りながら小型のチェーンソーで枝を切り落とす。
梢の近くまで登るとさすがに木質部が腐ってきていて、これ以上は危険で登る事が出来ない。
長老達に見てもらうと、この高さまで枝を落とせば伐倒時の邪魔にはならなそうだ。
この最高到達点にロープを固定してそのロープを伝って懸垂下降していく。
下降しながら今度は、トドマツを倒す方向の立木の邪魔になりそうな枝を切り落とす。
上からロープで吊られているのでかなり自由に動くことが出来、トドマツから3mくらい離れたところまで飛び移って枝切りが出来る。
トドマツと、伐倒方向の邪魔な枝を切り落とせば準備は完了、地上に降りてクライミング用具を片付ける。
いよいよ本日のメインイベント、伐倒作業の開始だ!
セオリーどおり倒す方向に「受け口」という三角形の切り込みを入れてから、反対方向からチェーンソーで切っていく。
「受け口」の近くまで切り込むと、幹の切れ残っている部分(この部分を「つる」と言う)が蝶番のように折れ曲がって、樹は「受け口」側に倒れていく。
ただ今回は完全な枯れ木のため、生木と比べて「つる」の強度が読みにくく、かなり慎重に作業を行った。
結果は、大成功。
ドンピシャで狙った方向に倒すことが出来た!
実は内心かなりドキドキだったので、うれしさもひとしおだ。
ちなみに、これは業務として行う林業や植木屋の仕事ではなく、地域のゴミ拾いや清掃と同じただの町内会活動です。
田舎の町内会活動恐るべし! ですね。
伐採の様子をビデオにしたので、こちらも是非ご覧下さい。
2021年9月5日
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