眠っちゃだめだ!!
朝から降り始めた雪は、夕刻をすぎても止まず、むしろその勢いを増してきていた。
比較的雪の少ないこの地方としては、異常ともいえる積雪量を記録していた。
今まで経験したことの無いこの大雪で、建物がつぶされでもしたら大変である。
もう日も暮れ、あたりは暗闇に閉ざされてはいたが、意を決して見回りに出かけることを決定する。
こういう異常気象の時に、一人で出かけては危険である。万一に備えて、クッキーも一緒に行くことにした。
外に出ると、風こそ無いものの、降雪の多さは尋常ではなく、あっという間に体が雪に覆われ、真っ白になっていく。
クッキーは、初めのうちは駆け回ったり、穴をほりほりしたりして、嬉しそうにしていたが、そのうち不安げな顔をして座りこんでしまった。
“これしきの雪でくじけるとは何事だ!。”
ふがいなさに腹を立てた私は、一人で倉庫の点検に向かった。
倉庫は、異常がないようだ。
これで一安心だ。さてそろそろ帰るとするか。
“さあ、クッキー。もう帰るぞ。”と振り返ってみると。
なんと、雪のなかに倒れ込んで居るではないか。
あわてて駆け寄ると、クッキーはすでに真っ白な雪に覆われ始めている。
“しっかりしろ、クッキー。”
“眠るんじゃない。こんな雪の中で眠ったら死んでしまうぞ。”
私は、半ばパニックに陥りながら、叫び続けた。
しかし、クッキーはもうぴくりとも動かない。
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クッキーはそれからしばらくの間、眠り続けていた・・・。
とても気持ちよさそうに・・・・・。
分厚い毛皮を来ていると、このくらいの寒さは、何でも無いんだなと、私はただただ感心するばかりであった。
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